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資産価値のない土地を相続したら?7つの手放す方法と放置リスク

親などから価値のない土地を相続してしまい、固定資産税や管理の負担に頭を悩ませるケースが増えています。
活用予定のない土地は、所有しているだけで「負動産」となりかねません。
この記事では、資産価値のない土地を放置するリスクを解説するとともに、状況に応じた7つの手放す方法を具体的に紹介します。

早期に行動することで、将来のトラブルを未然に防ぐことが可能です。

資産価値のない土地とは?相続で「負動産」を抱えてしまう理由

資産価値のない土地とは、売却が著しく困難で、所有しているだけで固定資産税や管理費などの負担が発生する土地のことです。
こうした土地は「負動産」とも呼ばれます。
地方の過疎化や人口減少により土地の需要が低下したり、かつての別荘地ブームで購入された土地が放置されたりすることで発生します。

また、親世代が購入したものの、子世代にとっては利用価値がなく、相続によって意図せず引き継いでしまうケースも少なくありません。

あなたの土地は大丈夫?資産価値がない土地の具体的な特徴6選

所有している土地が資産価値のない「負動産」にならないか、不安に感じる方もいるかもしれません。
土地の価値は立地や法的規制、物理的な状態など様々な要因に左右されます。
ここでは、資産価値が著しく低くなる土地の具体的な特徴を6つ紹介します。

これらの特徴に複数当てはまる場合は、売却や活用が困難である可能性が高いため、早めの対策を検討する必要があります。

再建築ができない(再建築不可物件)

現存する建物を解体した後、新たに建物を建てられない土地を「再建築不可物件」と呼びます。
これは主に、建築基準法で定められた「接道義務」を果たしていないことが原因です。
利用目的が大幅に制限されるため、買い手を見つけるのは非常に困難です。

既存の建物のリフォームやリノベーションは可能ですが、一度更地にしてしまうと二度と建築ができないという大きな制約があり、資産価値は著しく低くなります。

車が入れない・道路に接していない(接道義務違反)

建物を建てる土地は、原則として「幅員4m以上の道路に2m以上接している」必要があります。
これを接道義務といい、消防車や救急車などの緊急車両の進入路を確保する目的があります。

この義務を満たしていない土地は、再建築不可物件となり資産価値が大幅に下がります。
特に、袋地(他の土地に囲まれて公道に接していない土地)や、接している道路の幅が極端に狭い土地は、売買が極めて困難になります。

市街化調整区域内で原則として建物が建てられない

市街化調整区域とは、都市計画法に基づき、市街化を抑制するために定められたエリアです。
この区域内では、原則として住宅や商業施設などの建物を自由に建築することができません。
例外的に、農林漁業を営む人のための住宅などが認められるケースもありますが、一般の個人が住宅地として利用することは困難です。

そのため、市街化調整区域内の土地は需要が極端に低く、資産価値も低くなる傾向にあります。

地形が複雑で活用しにくい(傾斜地・不整形地)

土地の形状も資産価値に大きく影響します。
例えば、急な傾斜地や崖地は、建物を建てる際に大規模な造成工事や擁壁の設置が必要となり、高額な費用がかかります。

また、三角形や台形、旗竿地などの不整形地は、土地を有効に活用しにくく、設計上の制約も大きくなります。
これらの土地は、整形地に比べて需要が低く、評価額も低くなるのが一般的です。

土地の境界線が確定していない

隣接する土地との境界がはっきりと定まっていない土地は、将来的に隣地所有者との間でトラブルに発展するリスクを抱えています。
買い手から見れば、購入後に境界線をめぐる紛争に巻き込まれる可能性を懸念するため、取引をためらう大きな要因となります。
売却する際には、事前に土地家屋調査士に依頼して境界確定測量を行い、境界を明確にしておくことが求められる場合が多く、その手間と費用が価値を下げる一因となります。

周辺環境に問題があり需要が見込めない

土地そのものに問題がなくても、周辺の環境が原因で資産価値が低くなることがあります。
例えば、近隣にゴミ処理施設や工場、騒音や悪臭を発生させる施設がある場合、居住地としての需要は著しく低下します。
また、上下水道やガスといった生活インフラが未整備のエリアや、スーパーや駅までのアクセスが極端に悪い場所も同様です。

こうした土地は買い手が見つかりにくく、売却が困難になります。

資産価値のない土地を放置し続ける3つの重大リスク

「売れないから」といって資産価値のない土地をそのまま放置しておくと、将来的に様々なリスクが生じる可能性があります。
それは金銭的な負担にとどまらず、法的な責任を問われる事態に発展することさえあります。

ここでは、土地を放置し続けることで発生しうる3つの重大なリスクについて具体的に解説します。
これらのリスクを理解し、手遅れになる前に対策を講じることが重要です。

固定資産税や管理費など金銭的負担が続く

土地は所有しているだけで、毎年固定資産税や都市計画税が課税されます。
たとえ全く利用していない土地であっても、納税の義務がなくなることはありません。
また、土地を適切に管理するための費用も発生します。

例えば、遠隔地に土地を所有している場合、定期的な草刈りや清掃を業者に依頼する必要があり、その費用は継続的な負担となります。
こうした金銭的負担は、土地を手放さない限り永続的に続きます。

管理責任を問われ損害賠償を請求される恐れがある

土地の所有者には、その土地を安全な状態に保つ管理責任があります。
もし管理を怠った結果、第三者に損害を与えてしまった場合、所有者が損害賠償責任を問われる可能性があります。
例えば、土地にあるブロック塀が倒壊して通行人が怪我をした、崖が崩れて隣家に被害が及んだ、雑草の繁茂で害虫が発生し近隣に迷惑をかけた、といったケースが考えられます。

放置した結果、予期せぬ大きな金銭的負担を強いられるリスクがあります。

特定空き家に指定されると税金が最大6倍になる

土地の上に老朽化した家屋が残っている場合、特に注意が必要です。
倒壊の危険がある、衛生上有害であるなど、放置することが不適切と判断された空き家は、自治体によって「特定空き家」に指定されることがあります。
特定空き家に指定され、改善勧告に従わない場合、固定資産税の住宅用地特例が適用されなくなります。

これにより、土地の固定資産税額が最大で6倍になる可能性があり、金銭的な負担が大幅に増加します。

【状況別】資産価値のない土地を手放す7つの方法

資産価値のない土地を所有し続けるリスクを避けるためには、早めに手放すことを検討するのが賢明です。
土地の状況やご自身の希望によって、選択できる方法は多岐にわたります。
ここでは、相続放棄から専門業者の利用まで、資産価値のない土地を手放すための具体的な7つの方法を紹介します。

それぞれのメリット・デメリットを理解し、最適な選択肢を見つけるための参考にしてください。

【相続前なら】相続放棄で所有権を放棄する

親などが亡くなり、これから土地を相続する段階であれば「相続放棄」が選択肢の一つになります。
相続放棄とは、プラスの財産(預貯金や不動産など)もマイナスの財産(借金など)も、全ての遺産を相続する権利を放棄することです。
相続の開始を知った時から3ヶ月以内に家庭裁判所で手続きを行う必要があります。

ただし、価値のない土地だけを選んで放棄することはできず、他の全ての財産も手放すことになるため、慎重な判断が求められます。

【2023年開始】相続土地国庫帰属制度を利用して国に引き取ってもらう

2023年4月27日に「相続土地国庫帰属制度」が始まりました。
これは、相続または遺贈によって取得した不要な土地を、一定の要件を満たす場合に国に引き取ってもらえる制度です。

利用するには、建物がない更地であること、境界トラブルや抵当権がないことなどの条件をクリアし、審査を受ける必要があります。
また、承認された際には、10年分の土地管理費相当額の負担金を納付しなければなりません。

自治体(市町村)へ寄付を相談する

土地を自治体に寄付するという方法も考えられます。
もし自治体がその土地を公園や公共施設の建設、道路の拡幅などで活用できる見込みがあれば、受け取ってもらえる可能性があります。
しかし、自治体側も管理コストがかかるため、利用価値のない土地の寄付を受け入れるケースは極めて稀です。

多くの自治体では寄付の受付窓口を設けていますが、現実的には非常にハードルが高い方法といえます。

隣地の所有者に売却・譲渡を持ちかける

隣地の所有者にとって、あなたの土地は自身の土地と一体化させることで利用価値が高まる可能性があります。
例えば、敷地が広がることで大きな建物を建てられるようになったり、駐車スペースを確保できたりします。
そのため、隣地の所有者は最も有力な買い手候補となり得ます。

市場価格での売却は難しいかもしれませんが、低い価格や、場合によっては無償で譲渡することで、引き取ってもらえる可能性があります。

訳あり物件専門の不動産会社に買い取ってもらう

一般的な不動産会社では仲介を断られてしまうような土地でも、「訳あり物件専門」の不動産会社であれば買い取ってくれる可能性があります。
これらの会社は、再建築不可物件や市街化調整区域内の土地など、活用が難しい不動産を専門に取り扱っています。

独自のノウハウで土地を活用したり、法的な問題をクリアして商品価値を高めたりできるため、直接買い取ることが可能です。
ただし、買取価格は市場価格よりも大幅に低くなる傾向があります。

不動産会社に無償で引き取ってもらう(引き取りサービス)

売却も寄付も難しい土地の最終手段として、不動産会社や専門業者が提供する引き取りサービスがあります。
これは、金銭を支払って土地の所有権を業者に移転するものです。
引き取った業者は、土地を整備して再販したり、資材置き場などとして活用したりします。

費用はかかりますが、所有権を確実に手放すことができ、将来の固定資産税や管理責任から解放されるというメリットがあります。
業者によってサービス内容や費用が異なるため、複数の業者を比較検討することが重要です。

個人間で欲しい人に無償で譲渡する(知人・マッチングサイト)

家庭菜園やDIYの作業スペース、キャンプ用地、資材置き場など、特定の目的で土地を探している個人に無償で譲渡する方法もあります。
まずは知人や友人に声をかけてみるのが手軽です。
また、最近では不要な土地を譲りたい人と欲しい人を繋ぐインターネット上のマッチングサイトも登場しています。

ただし、個人間の取引では契約や登記手続きを自分たちで行う必要があり、後々のトラブルを避けるためにも、司法書士などの専門家に依頼するのが安心です。

手放す前に試したい!土地の価値を少しでも上げる3つの工夫

処分を検討する前に、いくつかの対策を講じることで土地の資産価値をわずかでも高め、売却の可能性を広げられる場合があります。
買い手にとっての懸念材料を一つでも減らすことが、取引をスムーズに進める鍵となります。
ここでは、土地を手放す前に試す価値のある3つの工夫を紹介します。

これらの対策には費用がかかる場合もありますが、売却の成功率を高めるための投資と考えることもできます。

土地の境界を確定させ買い手の不安をなくす

隣地との境界が曖昧な土地は、買い手にとって大きな不安要素です。
購入後に境界トラブルに巻き込まれるリスクを避けるため、多くの買い手は境界が確定している土地を好みます。
土地家屋調査士に依頼して「境界確定測量」を行い、隣地所有者の立ち会いのもとで境界標を設置することで、土地の範囲が法的に明確になります。

これにより、取引の安全性が高まり、売却がしやすくなる効果が期待できます。

古家や残置物を撤去して更地にする

土地に老朽化した空き家や不要な物が残っている場合、見た目の印象が悪くなるだけでなく、買い手は購入後の解体費用や撤去の手間を懸念します。
事前に解体して更地の状態にしておけば、買い手はすぐに土地を活用できるため、購入意欲が高まります。

解体費用はかかりますが、土地を魅力的に見せ、売却の可能性を高める有効な手段です。
ただし、更地にすると固定資産税の住宅用地特例が適用されなくなる点には注意が必要です。

土地の測量を行い正確な面積を把握する

登記簿に記載されている面積(公簿面積)は、実際の面積(実測面積)と異なっていることが少なくありません。
特に古い時代の測量に基づいている場合、誤差が大きいことがあります。
事前に測量を行い、正確な土地の面積を把握しておくことで、売買価格の根拠が明確になり、買い手に安心感を与えられます。

正確な情報を提供することは、信頼性の高い取引につながり、売却を後押しする重要な要素となります。

資産価値のない土地に関するよくある質問

資産価値のない土地の扱いに悩む中で、様々な疑問が浮かぶことでしょう。
ここでは、そうした土地に関して特に多く寄せられる質問とその回答をまとめました。
具体的な処分方法や費用、制度の利用条件など、多くの人が知りたいポイントについて解説します。

引き取り手がいない土地は最終的にどうなるのでしょうか?

所有権を放棄しない限り、所有者の管理責任と納税義務は永続します。
相続が発生した場合は、その義務も相続人に引き継がれます。
もし相続人全員が相続放棄をした場合、土地は法人化され、最終的には国庫に帰属することになりますが、その手続きは非常に複雑で時間がかかります。

相続土地国庫帰属制度の利用に条件はありますか?

はい、利用には複数の条件があります。
主な条件として、相続または遺贈で取得した土地であること、建物や抵当権などの権利が付着していない更地であること、境界が明確であること、土壌汚染や地下埋設物がないことなどが挙げられます。
申請後、法務局による審査を通過する必要があります。

土地を手放す際に費用がかかるケースはありますか?

はい、多くの場合で何らかの費用が発生します。
売却する場合は不動産会社への仲介手数料や登記費用、相続土地国庫帰属制度を利用する場合は審査手数料と負担金が必要です。
専門業者に引き取ってもらう場合もサービス料がかかります。

寄付や個人間譲渡であっても、測量や所有権移転登記の費用が発生することが一般的です。

まとめ

資産価値のない土地を相続した場合、放置し続けると固定資産税の負担や管理責任といったリスクが伴います。
そのため、早期に行動を起こすことが重要です。
対処法には、相続前であれば相続放棄、相続後であれば相続土地国庫帰属制度の利用、隣地所有者への売却、訳あり物件専門業者への買取依頼、有償での引き取りサービスの利用など、多様な選択肢が存在します。

土地の状況に応じて境界確定や更地化を行うことで、売却の可能性が高まることもあります。
どの方法が最適か判断に迷う場合は、不動産会社や司法書士といった専門家に相談し、自身の状況に合った解決策を見つけることが望ましいです。