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売れない土地を手放したい人へ。国庫帰属制度から寄付までの処分方法を解説

所有している土地が売れず、固定資産税や管理の負担に悩んでいませんか。
売れない土地を手放すには、売却以外にも複数の選択肢が存在します。
この記事では、土地が売れない原因から、放置するリスク、そして国に引き取ってもらう「相続土地国庫帰属制度」や寄付といった具体的な手放す方法までを網羅的に解説します。

状況に合わせた最適な手放す方法を見つけるための情報を提供します。

そもそも、なぜあなたの土地は売れないのか?主な5つの原因

土地が売却できない背景には、複合的な要因が考えられます。
買い手が見つからない場合、価格設定だけでなく、土地そのものが持つ特性や法的な制約が影響している可能性が高いです。
ここでは、土地が売れない主な原因として考えられる5つのポイントを掘り下げ、それぞれの問題点を具体的に解説します。

自身の土地がどのケースに当てはまるかを確認することで、今後の対策を立てる第一歩となります。

原因1:都市部から遠いなど立地条件が悪い

土地の価値を大きく左右する要因の一つが立地です。
最寄り駅から遠い、バス路線がないなど交通の便が悪い場所は、通勤や通学に不便なため需要が低くなります。
また、上下水道やガスといった生活インフラが整備されていない土地も、買い手が利用を開始するまでに多額の費用と手間がかかるため敬遠されがちです。

周辺にスーパーや病院などの生活利便施設が少ない場合も、居住用としての魅力が乏しく、売却が困難になる傾向があります。

原因2:土地の形が不整形・面積が狭すぎる(広すぎる)

住宅を建てるには、ある程度の面積を持つ整形地が最も効率的です。
土地の形がいびつな不整形地、特に三角形の土地や、道路に接する間口が極端に狭い旗竿地などは、設計の自由度が低く、デッドスペースが生まれやすいため買い手がつきにくいです。

また、住宅を建てるには狭すぎる土地や、逆に個人では活用しきれないほど広大な土地も、用途が限定されるため市場での需要は低くなります。
このような土地は、隣地の所有者でなければ活用が難しく、売却のハードルが上がります。

原因3:隣地との境界線がはっきりしていない

隣接する土地との境界が明確でない場合、将来的なトラブルを懸念して買い手は購入をためらいます。
境界標が設置されていなかったり、公的な図面(公図)と現況が異なっていたりすると、隣地所有者との間で所有権を巡る争いに発展するリスクがあります。

また、境界が未確定の土地は、金融機関が担保価値を正しく評価できないため、住宅ローンの審査が通りにくいという問題も生じます。
売却を進めるには、事前に土地家屋調査士に依頼して境界を確定させる必要があります。

原因4:設定している売却価格が相場より高い

売却を希望するあまり、周辺の取引事例や土地の評価額からかけ離れた高い価格を設定してしまうケースは少なくありません。
買主は、近隣の類似物件の価格を比較検討して購入を判断します。
そのため、客観的なデータに基づかない価格設定では、問い合わせすら来ない状況が続くことになります。

不動産会社の査定額や、国土交通省が公表している不動産取引価格情報、路線価などを参考に、市場の需要に見合った適正な価格に見直すことが不可欠です。
思い入れや取得時の価格に固執せず、現実的な価格設定が売却への近道です。

原因5:土砂災害警戒区域内など法的な制約がある

土地の利用は、都市計画法や建築基準法といった法律によってさまざまな制約を受けます。
例えば、原則として建物を建てられない「市街化調整区域」内の土地や、崖崩れなどの危険性がある「土砂災害特別警戒区域(レッドゾーン)」に指定されている土地は、利用価値が著しく低いため売却が極めて困難です。
また、接道義務を満たしていない「再建築不可物件」も同様です。

これらの法的な制約は、個人の努力で解消することが難しく、売却の大きな障壁となります。

売れない土地を放置する3つの深刻なリスク

活用できず、売却もままならない土地を「ただ持っているだけ」と考えて放置すると、予期せぬトラブルや経済的な損失に見舞われる可能性があります。
所有している限り、法律上の責任と義務からは逃れられません。
ここでは、売れない土地をそのままにし続けることで生じる、3つの具体的なリスクについて解説します。

これらのリスクを理解することは、土地を手放す必要性を再認識する上で重要です。

リスク1:固定資産税や管理費など金銭的負担が続く

土地は所有しているだけで、毎年1月1日時点の所有者に対して固定資産税が課税されます。
市街化区域内にある場合は、都市計画税も併せて納付が必要です。
これらの税金は、土地から収益がなくても支払い続けなければなりません。

さらに、土地を適切に管理するための費用も発生します。
例えば、雑草が繁茂すれば近隣からの苦情につながるため、定期的な草刈りが必要です。
遠隔地に土地を所有している場合は、管理を業者に委託する費用もかかり、継続的な金銭的負担となります。

リスク2:倒木や不法投棄など近隣トラブルで損害賠償を請求される恐れ

土地の管理を怠ると、所有者としての責任を問われる事態に発展する可能性があります。
例えば、管理されていない土地の木が台風で倒れて隣家を破損させたり、通行人に怪我を負わせたりした場合、土地所有者は損害賠償責任を負うことがあります。
また、手入れされていない土地は、ゴミの不法投棄や害虫発生の温床となりやすく、近隣住民との関係悪化や行政指導の原因にもなりかねません。

これらのトラブルは、金銭的な負担だけでなく、精神的なストレスにもつながります。

リスク3:子どもや孫に「負動産」として相続させてしまう

自身が解決できなかった売れない土地の問題は、相続によって次世代に引き継がれます。
固定資産税の支払いや管理責任といった負担を、自分の子どもや孫に背負わせてしまうことになります。
資産価値が低く、むしろ負担の大きい不動産は「負動産」と呼ばれ、相続人間でのトラブルの原因となることも少なくありません。

将来、家族に迷惑をかけないためにも、自身の代で土地問題に区切りをつけておくことが望まれます。
相続が発生してからでは、解決策が限られてしまう場合もあります。

【売却以外】売れない土地を手放すための5つの処分方法

不動産会社に仲介を断られたり、長期間買い手がつかなかったりする場合でも、土地を手放す方法は売却だけではありません。
金銭的な利益を得ることは難しくなりますが、所有し続けることによる負担から解放されるための選択肢が存在します。
ここでは、売却以外の方法で土地を手放すための具体的な処分方法を5つ紹介します。
それぞれの制度や手続きには条件があるため、自身の状況に適した手放す方法を検討することが重要です。

方法1:国に土地を引き取ってもらう「相続土地国庫帰属制度」

2023年4月27日に施行された「相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律」に基づき、相続または遺贈で取得した不要な土地を国に引き渡せる制度です。
法務局に申請し、審査を通過すれば、一定の負担金を納付することで土地の所有権を国に移すことができます。
ただし、建物がある土地、担保権が設定されている土地、境界が不明確な土地などは対象外となるため、誰でも利用できるわけではありません。

利用するには、法律で定められた要件を満たす必要があります。

方法2:受け入れ先があれば可能な「自治体への寄付」

所有している土地を地方自治体に寄付するという方法もあります。
自治体側で公園、公民館の敷地、道路の拡幅用地など、公共目的での活用が見込める場合は、寄付を受け入れてもらえる可能性があります。
しかし、多くの自治体は財政難や管理コストの増大を理由に、利用価値の低い土地の寄付には消極的です。

実際には、よほど条件の良い土地でなければ断られるケースがほとんどであり、ハードルは高いのが実情です。
まずは市役所などの資産管理担当課に相談してみましょう。

方法3:隣地の所有者や知人へ無償で譲る「個人への譲渡」

隣地の所有者にとって、自身の土地が広がることは利用価値の向上につながるため、無償であれば引き取ってもらえる可能性があります。
まずは隣地の所有者に直接交渉してみるのが一つの手です。
また、家庭菜園や資材置き場として土地を探している知人がいれば、その人に譲ることも考えられます。

ただし、無償の譲渡であっても、譲り受けた側には不動産取得税や登録免許税がかかります。
また、時価に比べて著しく低い価格での売買は贈与とみなされ、贈与税が課される場合があるので注意が必要です。

方法4:相続前なら検討できる「相続放棄」

これから土地を相続する立場にある場合、「相続放棄」という選択肢があります。
これは、被相続人(亡くなった方)の財産を一切受け継がないという意思表示を家庭裁判所で行う手続きです。
相続の開始を知った時から3ヶ月以内に申述する必要があります。

相続を放棄すれば、売れない土地を含むすべての財産を手放すことができますが、預貯金や有価証券といったプラスの財産もすべて放棄することになります。
特定の財産だけを選んで放棄することはできないため、慎重な判断が求められます。

方法5:NPO法人など民間の団体に寄付する

自治体への寄付が難しい場合でも、民間のNPO法人や一般社団法人が寄付を受け付けているケースがあります。
例えば、自然保護活動を行っている団体が、保全地域として活用するために山林の寄付を募っていることがあります。
また、地域活性化を目指す団体が、活動拠点として土地を探している場合も考えられます。

団体の活動目的と土地の特性が合致すれば、寄付が成立する可能性があります。
ただし、受け入れ先は非常に限られており、インターネットなどで地道に探す必要があります。

まだ売却を諦めない!売れない土地を売るための最終手段

様々な手放す方法を検討しても、やはり少しでも金銭に変えたいと考えるのは自然なことです。
一般の不動産市場で買い手がつかないからといって、売却の可能性が完全にゼロになったわけではありません。

視点を変え、これまでとは違うアプローチを試すことで、売却への道が開けることもあります。
ここでは、売却を諦める前に試すべき最終手段として、4つの具体的な方法を紹介します。

一般の仲介で売れない訳あり物件専門の「買取業者」に依頼する

一般の不動産仲介会社が扱うのは、主に購入希望者が見つかりやすい物件です。
そのため、立地が悪かったり、法的な制約があったりする「訳あり物件」は、取り扱いを断られることも少なくありません。
このような土地の売却には、訳あり物件を専門に扱う不動産買取業者が有効です。

買取業者は、土地を直接買い取り、造成や開発などを行ったうえで再販することを目的としています。
仲介に比べて売却価格は低くなる傾向にありますが、スピーディーに現金化でき、契約不適合責任が免除されるといったメリットがあります。

土地の状況を改善するために更地にしてから売り出す

土地の上に古い家屋や廃墟が残っている場合、それが買い手の購入意欲を削いでいる可能性があります。
建物があると、内覧の手間がかかるうえ、買主側で解体費用を負担しなければならないため、敬遠されがちです。
思い切って建物を解体し、更地にしてから売り出すことで、土地の印象が良くなり、買い手の用途も広がります。

ただし、数百万円単位の解体費用が自己負担となる点や、建物を解体すると固定資産税の住宅用地特例が適用されなくなり、税額が上がる可能性がある点には注意が必要です。

契約している不動産会社や担当者を変えてみる

土地の売却活動は、依頼する不動産会社や担当者の力量に大きく左右されます。
現在の不動産会社が、売却したい土地のエリアや種別を得意としていない場合、効果的な販売活動ができていない可能性があります。
また、担当者の熱意や経験によっても結果は変わります。

長期間売却できていない場合は、地元の不動産事情に精通した会社や、山林や農地など特殊な土地の売買に強い会社へ変更することを検討しましょう。
複数の会社と媒介契約を結び、競争意識を持たせるのも一つの手です。

「空き家バンク」に登録して買主を探す

所有する土地が地方にある場合、自治体が運営する「空き家バンク」や「空き地バンク」への登録が有効な手段となり得ます。
空き家バンクは、主にUターンやIターン希望者と、地域の空き物件をマッチングさせるための制度です。
都市部の不動産市場とは異なり、田舎暮らしを希望する人や、安価で広い土地を求める層に直接アプローチできる可能性があります。

登録や利用は無料または低額な場合が多く、思わぬ買い手が見つかるかもしれません。
まずは、土地が所在する自治体のウェブサイトを確認してみましょう。

売れない土地の手放し方に関するよくある質問

ここまで売れない土地を手放すための様々な方法を解説してきましたが、具体的な手続きや費用について、まだ疑問が残るかもしれません。
土地を手放すには、どの方法を選択するにしても相応の準備と理解が必要です。
ここでは、売れない土地の手放し方に関して特に多く寄せられる質問を3つ取り上げ、簡潔に回答します。

Q1. 土地を手放すのに費用はかかりますか?

はい、多くの場合は費用がかかります。
国庫帰属制度では1万4千円の審査手数料と、10年分の管理費相当額(20万円~)の負担金が必要です。
個人への譲渡では、譲渡所得税や登記費用が発生します。

相続放棄でも、家庭裁判所での手続きに数千円の実費がかかります。
完全に無償で手放せるケースは稀だと認識しておく必要があります。

Q2. 自治体への寄付は断られることもありますか?

はい、断られるケースがほとんどです。
自治体が寄付を受け入れるのは、公園や道路の拡張用地など、公共の目的で明確な活用方法がある場合に限られます。

利用価値がなく、管理コストだけがかかるような土地は、財政を圧迫するため受け入れを拒否されるのが一般的です。
寄付を検討する場合は、まず役所の担当部署に相談してみましょう。

Q3. 相続土地国庫帰属制度を利用できないのはどんな土地ですか?

管理や処分に過大な費用や労力がかかる土地は利用できません。
具体的には、建物や工作物が存在する土地、担保権などが設定されている土地、他人の利用が予定されている土地、境界が不明確な土地、土壌汚染や埋設物がある土地などは、申請が却下されたり、不承認となったりする可能性が高いです。

申請前に法務局のウェブサイトで要件を確認することが重要です。

まとめ

売れない土地を所有し続けることは、固定資産税や管理費といった金銭的負担だけでなく、近隣トラブルや次世代への負の遺産といったリスクを伴います。
土地が売れない原因は、立地や形状、法的な制約など様々です。
売却が困難な場合でも、2023年に始まった「相続土地国庫帰属制度」をはじめ、自治体や個人への寄付・譲渡、相続前であれば相続放棄など、土地を手放すための選択肢は複数存在します。

また、訳あり物件専門の買取業者に依頼するなど、売却の最終手段も残されています。
自身の土地の状況を正確に把握し、最適な処分方法を検討することが、問題解決の第一歩となります。